
オーガニック、有機栽培、無農薬。
聞いたことはありますよね。でも、きちんと理解したことはない。
そんな人も多いはず。
地元の農業を探検する隊員としてはそのままではいけない!
ということで、小野淳さん(NPO法人くにたち農園の会理事長)をお招きして、「有機栽培ってなに?」というお話をしていただきました。
テレビマンをしていた小野さんは、フィリピンの農場を取材。そこでの経験に触発されて有機農業の世界を志したそうです。
そして、大企業としてはいち早く有機農場に取り組んだワタミファームに入社。そのあと、体験農園などを展開する国立ファームでも経験を積んでいます。
現在は、国立市内の体験農園を経営していますが、有機の素晴らしさを理解しつつも、化学肥料や農薬を使うこともあるそうです。
そうした立場から、「なにがなんでも有機」ということではなく、フラットな立場から話してもらいました。
なかでも興味深かったお話が、「安全とか健康とか言うけど、すでにめちゃめちゃ長寿社会になっていて、安全や健康は本質的な論点のか?」ということでした。
そして、国の認証の「有機栽培」では、使ってもいい農薬もあるし、多くの慣行農法でもたい肥を使うのは当たり前だということで、「有機」とその他の農法にさほどの違いはないかもしれない、とお話されていました。
有機やオーガニックという言葉は、だいぶ、イメージ先行になっているのかもしれません。
八百屋さんの店頭で「無農薬」と書くのは違法だということです。そうだったのか!
本来、有機認証を取らないと(お金と手間がかかる)、その農産物は有機と名乗れません。
しかし、認証を受けていないけど有機をうたっている農業者もいて。
さらには、農水省によって「オーガニックシティ」という制度もできているのですが、これは必ずしもこれまでの有機認証とは異なる制度らしい……。
かなり複雑。
このあたりは時間切れ。もうちょっと勉強しないといけません~。
ちなみに、日本の畑のなかで有機農法なのは、たったの0.5%しかありません!
最後に、小野さんが、有機農業で有名な茨城県の久松達夫さんの考えを紹介してくれました。(『農家はもっと減っていい』(光文社文庫)を出版して話題に。)
久松さん自身は有機農法なのですが、健康や安全のためにやっているわけではない!と喝破しています。
それはスポーツに近いのだそう。
どういうことかというと、化学肥料や農薬に頼らないでどこまで美味しい野菜を作ることができるか。そういうチャレンジとして有機農法をやっているのだそうです。
今回のゼミで、有機農業にも、いろんな考え方があるし、制度的にもかなり難しいことになっていることが分かりました。
●ライター:菱沼 勇介